農業情報

人手不足の「農業」を支えている外国人技能実習生について

最近話題になっている「外国人技能実習制度」を知っていますか?
制度の改正がされて、今後日本で働く外国人が大幅に増えるとされています。
農業の業界でも人手不足のため「外国人技能実習生」が多く働いています。
私も実際にいくつかの場所で色んな国の人と働きました。
そこで今回は、外国人技能実習生についてのメリット・デメリットを農業の視点からまとめてみました。

外国人技能実習制度について

外国人技能実習制度は、1993年から始まりました。
目的としては、外国の若者に技能を修得させて母国の発展に活かしてもらうことから始まりました。
しかし、現在は人手不足の業界を支える切り札とされています。
2018年の11月に制度の改正があり、今後さらに多くの外国人技能実習生を目にする機会が増えると思います。

今回の改正で変更された点

改正された点はいくつもありますが、その中でも、重要なものを紹介します。
技能実習の適正な実施
新たに、「外国人技能実習機構」(認可法人)を創設し監理団体等に報告を求め、実地に検査する等の業務を実施。
これにより、不正などを防ごうとしています。
技能実習生の保護
人権侵害等に対する罰則等の整備や技能実習生の相談・通報の窓口の整備をする。
これにより、技能実習生を守ることが出来ます。
制度の拡充
優良な監理団体・実習実施者での実習期間が3年→5年に延長されたり、受入れ人数枠が増えたりします。
これらにより、さらなる外国人技能実習生が増えます。
詳しい内容については
外国人技能実習制度とは JITCO公益財団法人 国際研修協力機構
外国人技能実習機構HP

農業における外国人労働者の動向

引用:農林水産省 農業分野における外国人労働者の動向
*注 研修生は実務研修を行わない者も含む。
農業における外国人労働者はどうかと、農林水産省のデータを見ると、年々数が増えていっています。
北海道の農業では、外国人なしではやっていけないという話も聞きました。

外国人技能実習生を雇うメリット

1、人材を確保できる

日本は現在少子高齢化で、人手不足が問題となっています。
農業の分野においては、労働者の高齢化に加えて、若い人で農業をしたい人は少なく雇いたくても雇えないのが現状です。
そのため、外国人実習生を雇うことで人手を確保することが出来ます。
外国人技能実習生は、現状基本3年、長くて最大5年間働いてもらうことが出来ます。
今の日本は新卒入社で3年以内の離職率は大卒で31.8%、短大卒で41.5%もあります。
この数字を見ると、たとえ3年でも農業で働く人を確保できるのはメリットではあると思います。
また、3年という契約になっている場合に働いている人の勤務態度が悪かった場合、解雇出来、代理に他の人を呼ぶことが出来ます。

2、若くてまじめに働く

外国人技能実習生だと3年雇えるのに加えて、雇う人材はIQテストや、面談をしてこちら側が選ぶため、優秀な人材を雇うことが出来ます。
男女も選ぶことが出来るので、力作業や細かい作業など、仕事によって選択が出来ます。
さらに、日本に働きに来ているということは10台後半から30台前半ぐらいの若い人がほとんどです。
仕事においても、日本人の場合他にも仕事があるからとなるかもしれませんが、外国人技能実習生の場合この仕事が出来なければ帰国させられるので、まじめに一生懸命働きます。
実際、一緒に働いたことがありますがどこの人もまじめでしかも優秀な人達でした。

外国人技能実習生を雇うデメリット

1、お金がかかる

全国で違法な賃金で雇っていたという話が問題となっていますが、給料はその都道府県の最低賃金以上になっています。
そのため、賃金だけで見ると通常は日本人を雇うのと金額はあまり変わらないと思います。 しかし、外国人技能実習生の場合、中間監理団体にお金を払ったり、渡航費などが給料と別にかかります。 調べてみたところ、1人を3年間雇うのに230万~450万の管理費がかかるようです。 日本人の場合、給料だけなので外国人技能実習生の方がお金がかかると言えます。 それなのに雇う人が多いというのはよっぽど人手不足になっているのでしょう。

詳しい費用はこちらを見て下さい
外国人技能実習制度の費用(3人のケース)外国人労働新聞社
技能実習生受け入れ費用 ITE事業協同組合

2、日本語での指示が大変

外国人技能実習生で来る人は日本語が少しは出来ます。
しかし、ペラペラまでは喋れません。
そのため指示を出したりするときに分かりやすく説明したり、普段から日本語を教えて意思が伝わるようにしないといけません。
そういった面で最初は苦労すると思います。
どれだけ、経営者が寄り添って教えるかにかかっていると思います。
それによっては、3年でかなり喋られるようになります。

3、3年あるいは5年で母国へ帰国してしまう

外国人技能実習生は3年あるいは5年で契約が終わる決まりになっています。
その後母国へ帰国してしまいます。
メリット1とは反対のことになってしまいますが、最低3年は雇えますが、5年以上や10年のベテランにすることはできません。
3年たったら、また新しい人に一から教えないといけません。
効率が悪いと言ったらそれまでですが、たとえ3年でも働いてくれたらよい、と考えるかどうかによって考え方は変わると思います。

おまけ

私は実際に今までの所で、外国人技能実習生を雇っているところが4ヵ所ありました。
国籍は、中国、ベトナム、タイ、カンボジアでした。
人によって日本が喋れる度合いが違いましたが、当たり前ですが年数が長いほど日本語が上手かったです。
私のいたところは最低賃金はしっかり払っていたと思います。
ただ、休みは忙しい時期は私のようなアルバイトよりも少なく、働いたところが多かった印象です。
その分、農繁期の冬などに休みを多くもらっていたようです。

日常やお別れの時に、外国人技能実習生のみんなに自国の料理を作ってもらいました。
初めて食べるモノばかりだけど、どれもおいしかったです。
みんな料理のレベルが高く、日本にいながら海外気分になれました。

タイ料理(もち米、トムヤムガイ、魚、タイの卵焼き、???)
ソムタム(エビと青パパイヤが入っている、あと何故かちくわも)
中国人に、餃子を作ってもらいました。
皮から作っていた。小さいころから作っていたそうで慣れた手つきであっという間に完成!
エビが入っている!
辛いたれに浸けて食べる!
激うまでした。

他にも、外国人技能実習生のタイ人のみんなと一緒に年越しパーティーをしたり、タイから持ってきてくれた「タネ」をもらいました。

日本のような静粛に静かに年を迎えるのではなく、踊ったり、歌ったりのパーティーでした。
なぜか、自家用のミラーボールを持っている(笑)
バジルとパクチーのタネ。
タネなんて、国から持ってこれるのかと思っていましたが、もらったものはちゃんと、植物検疫を受けて持ってきたものでした。庭の植木鉢に植えました。
外国人技能実習生のみんなは、仕事は本当に一生懸命働いていて、その分休日などは思い切り楽しんでいました。
日本にいながら、ましては農業で色んな国の人と関わると思いませんでした。
いい刺激になりました。

まとめ

以上、外国人技能実習生についてのメリット、デメリットでした。
人手不足の日本はこれから外国人技能実習生を使うことも考えなくてはいけなくなるかもしれませんね。
今後どうなるのでしょうか。

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コメント

    • とおりすがり
    • 2019年 3月 02日

    記事わかりやすかったです。料理の写真もよいですね。
    技能実習生については、インターネット、新聞、テレビでかなりいろいろな問題が指摘されていますね。
    滞在期間について、現在は最長5年ですが、2019年4月からの新制度導入により、更新手続きを踏むことによって事実上期限無しで雇用できる可能性が示唆されています。

    政策とかって結局なるようにしかならないのかなって思うんですけど、少なくとも自分の身近にいる技能実習生についてはきちんと敬意をもって接したいなって思います。日本っていう変な言語を使っている礼儀にうるさいめんどくさい国で、貴重な労働力を割いてくれいるのには感謝しかありません。

      • agri12-girl
      • 2019年 3月 07日

      >>とおりすがり様
      通りすがっていただきありがとうございます。
      そうなんですね!4月からまた変わるのですね。私も日本の農業を支えてくれている、技能実習生の存在を大変有難く思っています。現在の風潮としては、日本人より下にみられていますが、私の周りの技能実習生は大変まじめで一生懸命働いていて、仕事の出来も優れていると感じました。後から入った私なんかより仕事が早く、きれいな仕上がりでした。私も、単に生まれた国が違うとかではなく、一緒に働いている1人の人間として敬意を持ち接っしたいと思っています。

    • maki
    • 2020年 3月 31日

    外国人実習生が入国できない現在、対応策として日本人の若者に的を絞ったらどうでしょうか?コロナウイルスの感染拡大で内定も取り消し、中小企業の倒産もこれから増えていき、解雇される人が増えてくるのは目に見えています。
    集束予定だった高卒や大卒で、自宅から通勤できる人は問題ありませんが、アパートを借りて生活しなければならない人は、収入がないと大変です。下手をすれば路上生活者となっていきます。外国人だと、渡航費や通訳等給与以外に出費が嵩むのであれば
    体力に自信があり忍耐強い50代までの単身か独身者で、日本人を応募してはどうでしょうか? せめて住む場所の確保を、空いている民家や学校、旅館、寮等を農協もしくは市町村が借りて、期限付きで無償か有償で手配する。1年中仕事があれば、一農家で雇っても良いし、なければ多くの農家でシェアリングしていくてもあると思います。ピンチの時がチャンスです。日本人の就農者や季節農作業者を確保できる絶好の機会と思います。

      • agri12-girl
      • 2020年 6月 06日

      >>maki様
      返信が遅くなり申し訳ありません。
      そうですね、コロナの影響で今後色々と見直すことになると思います。
      私も1番は国内の人がもっと農業に興味を持ち、農業で働く人が増えてくれればとは思っております。
      maki様のおっしゃる通り、住む場所の確保や働く人を上手くシェアリングできればもっと働きやすい環境になると思います。
      今回のことで、新しい取り組みや、農業への見直しがされることを願っております。
      また、私も農家になる者として、国内の農業就業者が増えるような取り組みをしたいと考えています。

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