農家への道のり

北海道での8か月の農業生活を終えて。

農業の本場を見るため、北海道に今年の5月にやって来ました。
初めて北海道に来たときは、本州では見ることのない畑の広さにただただ驚いていました。
働いていた山上産業さんの畑は、70haちょっと。
東京ドームが4.7haなので、東京ドーム15個分くらいです。
1枚の畑自体も東京ドーム1個分の場所もありました。
日本の食を支えているのは、北海道と言われているのが納得できました。
特に、料理によく使われる玉ねぎやジャガイモはつくり方が桁違いの規模でした。


この1つのコンテナで、約1300㎏の玉ねぎが入ります。
1000㎏=1トンなのでそれ以上の重さであり、量です。

ジャガイモは77.5 %、玉ねぎも50%以上の生産が北海道です。
農林水産省 じゃがいも生産量上位
出典:農林水産省HP じゃがいも生産量上位について

去年のような台風があると、ジャガイモの出荷量が減りポテトチップスの出荷が制限されるなど多大な被害を受けます。
そんな、日本の食の自給率を支えている北海道で8ヵ月働いて、学んだこと、感じたことをまとめてみました。

学び感じたこと

1、いつどのタイミングで行うかが大事ということ

「農業は自分の都合に合わせるのが難しい」と、いうことを一番実感しました。
施設栽培は別かもしれませんが、露地栽培の場合「天気」などの気象状況に左右されるため、
天気予報などを見ながら「天気に自分たちが合わせていく」必要があります。
明日、雨が降るから今日中に収穫しないと、とか台風が来るから被害を防ぐために対策しなくてはとか、
農薬を撒く予定だったけど雨で出来なくなったとか、自分たちの思うようにはいきません。
栽培計画があったとしても、天気予報を見ながら日々対応していかないといけません、
実際に働いているときも、明日台風だから今日中にこの場所は収穫しよう、ということや、
雨が降ってきたから収穫や農薬散布が中止になったことがありました。
近年は、気象状況もおかしくなってきて、より対応が大変になっていくと思います。
1日作業が遅れたことで、収穫物が半減することもあります。
常に、天気予報を見ながら、日々の1つ1つの作業をこなしていくことが、
ゆくゆくの出荷の時の出来を左右すると、大変感じました。

2、北海道でやるには、機械が必要

大規模な土地なので、機械は必須です。
共同で使う手もありますが、よく使うものであったら自分で持っていないと、
日程の都合がつかない場合もあるのでやはり必要です。
何を作るかも変わりますが、本州のように手作業でやっていては作業が終わりません。
大きな機械を導入して、やる必要があります。
ただ、大きな機械はそれだけ価格もして、1台1,000万とかのモノも普通です。
高級自動車が買えてしまいます。
そのお金をどうするかが問題です。
中古を買ったり、補助金などの手がありますが、それでも大変だと感じました。

3、北海道であっても、人の手が必要なこと

北海道でやるには、機械が必要と言いましたが、それだけではなく、やはり人の手も必要となります。
私が一番驚いたのは、「草取り」です。
北海道だから、農薬撒いて雑草が生えないから草取りをしなくても大丈夫なんじゃないか、と勝手に思っていました。
しかし、全然違いました。雑草はどこでも生えました。
農薬を撒いても効いていないところや、作物も枯れるので作物と同じ科に効く薬品は撒けなかったり、
とあります。
他にも、土手の隣は土手草が侵入してきたりと大変です。
草取りの仕方は、どこでも同じです。
クワを使ったり、増殖する雑草はスコップを使ったりと、人の手で全て行います。
ただ、違うのは「畑の広さ」です。
1日中草取りをやって、畝の端から端までしかないこともありました。
それが何日も続くと少し絶望を感じました。(笑)
草取りもそうですが、今回の場合は花豆なんかも人の手を多く必要とします。
人が増えればそれだけ作業スピードも上がるので、やはり人の手が必要だと感じました。
自分で出来るのはどこまでで、どこから人の手が必要なのか考えないといけないと思いました。

4、どこで何を作るかが大切

どこでどの作物を作るかをよく考えないといけないと感じました。
例えば、働いていた山上産業さんは北見市で玉ねぎを作っていました。
北見市も入っているJAきたみらいは日本一の玉ねぎ産地です。
その分、ブランド価値があり高値で買い取ってもらえたり、専用の選果場などもあります。
また、近くで作っている人が多いので情報収集も出来る可能性があります。
このように、どの場所で何を作るかで受けられる恩恵も変わってきます。
産地でブランドの野菜を作ることや、反対にあまり作られていなく希少価値を目指すかや、市
場が近い場所で作り売りやすくするかなど、方法は様々です。
しかし、一度始めたら土地の移動とかはなかなかできないので、
最初によく考えどこで何を作るかを決める必要があると思いました。

5、土の性質も知らないといけない

作りたいものがあっても、その作物に合った土壌でなくては出来が大きく異なってきます。
玉ねぎでいうと、粘質土であると腰高小球で、皮厚く、貯蔵性強いが、収穫は遅れる
反対に、砂質土だと、早生扁平美大であるが、しまり悪く、皮薄く、貯蔵性は弱い
など、その作物ごとに適した土壌があります。
また、日本の土壌は酸性であるところが多いですが、その中でも強酸性の地域もあります。
ホウレン草やレタスなどは酸性に弱いため、そういう地域では向いていないと言えます。
もちろん、肥料などを入れて土壌改良をする方法もありますが、コストや手間がかかります。
前述したことと似たことになりますが、「作るなら適した地域で作るのが良い」と思いました。
自分の地域がどんな土壌なのか、こちら のサイト
日本土壌インベントリー
から見ることが出来ます。見てみるとおもしろいです!

6、種からモノになるまでの驚き

今までは、1ヵ月~3ヵ月ぐらいしか同じところで働いていなかったため、種を植えて収穫するまでを体験していませんでした。
今回の北海道は、8ヵ月と長かったため、種や苗を植えるところから、収穫までを日々の生長を目で見て、
体験することが出来ました。
たった1つの種が、すくすくと成長して大きくなる様子は感動します。
日々、食べている野菜や米、果物も初めはあんなにちいさかったんだな、
それが成長して目の前のモノになっているのだなと改めて思い知らされました。
アルバイトで働いていた私が思うので、経営者は本当にわが子のようなモノではないかと思いました。
肥料や薬を撒いて、愛情をかけて育てる。
出荷するときはどんな思いなのだろうなあ、これはやった人にしか分からない気持ちなのかなと思いました。

まとめ

以上、北海道で約8ヵ月働いてみて、感じたこと、学んだことでした。
これ以外にも、働く中で多くのことを学びました。
ここで経験し、学んだことを次につなげていきたいと思います。
山上産業さん、8ヵ月間もお世話になりました。ありがとうございました!
北海道で農業を経験するのは勉強になると思うので、短い間でも働いてみるのをおすすめします。
ぜひ、行ってみて下さい!

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